環境を再生しながら、
食料をつくる未来へ
地球環境の回復力が限界に近づく今、世界の食料生産は大きな転換点を迎えています。
20世紀の「緑の革命」は、高収量品種の開発や化学肥料・農薬の普及、灌漑や機械化の進展によって、食料生産量を飛躍的に増大させました。しかしその一方で、過剰な資材投入や水利用は土壌の劣化や地下水の枯渇を引き起こし、森林減少による炭素吸収源の喪失、生物多様性の低下など、深刻な環境劣化をもたらしています。
日本に目を向けると、一次産業を基幹とする地域では人口減少と高齢化が急速に進み、生産者の担い手不足が深刻化しています。さらに、カロリーベースで38%という低い食料自給率に加え、穀物・飼料・肥料資材の多くを輸入に依存する構造は、外的要因に対して脆弱な生産基盤であることを示しています。
こうした状況のなかで私たちに突きつけられているのは、「いかにして安定的で持続可能な食料生産を実現するか」という根源的な問いです。今後も人類が必要とする食料を確保し続けるためには、トレードオフにあるとされてきた「生産性」と「環境保全」を同時に高める、「環境再生型の食料生産システム」の構築が不可欠です。
その中核となるのが、リジェネラティブ(再生型)農林水産業です。これは、食料生産を維持・向上させながら、次の4つの“環境”を同時に再生することを目指す新たなアプローチです。
- 1. 食料生産環境:
- 安定的で持続可能な食料供給基盤の再構築
- 2. 地球生態環境:
- 自然環境と生物多様性の回復
- 3. 地域社会環境:
- 地域コミュニティの維持と再活性化
- 4. 人間内的環境:
- 心身の充足による生きる意欲と豊かさの創出
農林水産業が本来もつ“環境を再生する力”を社会全体で活かし、多様なステークホルダーが連携する仕組みを構築することで、地域の人々が穏やかな豊かさを実感できるWell-being社会をみなさんと一緒に創っていきましょう。